Graduates卒業生紹介
新たな一歩を踏み出した、TCDの卒業生たち 自転車で切り拓く、ぼくらの未来
東京サイクルデザイン専門学校を経て、晴れて社会人として働き出した卒業生たち。
「自転車」というキーワードで、自分たちの未来を開拓していく彼らに話を聞きました。
※取材時点の内容となります。
学生の頃から憧れていたメーカーで
日々チャレンジしながら奮闘中

- スペシャライズドジャパンアフターサービス
- 中山 風さん (22歳)
高校生の頃から自転車競技の実業団に所属するなど、本格的に走る楽しさも知っている中山さん。当時から自己流で愛車のメンテナンスを行っていたが、どうせならもっとしっかりと基礎から学びたいと思い、TCDに入学を決めたという。
「授業では本には載っていないような深い知識や技術を直接教わることができ、2年間という短い期間のなかでとても成長できたと思います。パイプ1本から、実際にフレームビルディングができたことは今後にも繋がる貴重な経験でした」
スペシャライズド・ジャパンに入社したのは、在学中のインターンシップがきっかけだった。
「スペシャライズドは自転車競技をやっていた頃から乗っていて、とても革新的なメーカーというイメージがあり、憧れでもありました。まさかこうして大好きなメーカーの一員として働けるとは、入学当初は思ってもいませんでしたね」
現在、中山さんは同社の自転車のアフターサービスを行う部署で日々業務に励んでいる。
「全国に約200店舗あるスペシャライズドの取扱店様から問い合わせを頂きますが、皆さんもプロなので常に気を抜けないですし、日々勉強です」
今後は、同社のサービスや製品普及を担当する部署も経験してみたいと、スポーツ医学検定の勉強もするなどチャレンジを続けている。その笑顔からも、日々の充実ぶりがうかがえた。
企業DATA

- スペシャライズド・ジャパン合同会社
- 1974年の創業以来、様々な革新をおこしてきたアメリカ・カリフォルニア州に本社をおくサイクリングブランド。1F にコンセプトストアを併設した日本の厚木本社では、本社機能に加えてディーラー向けの研修施設なども備えている。
大好きなブランドを、多くの人に乗ってもらいたい

- トレック・ジャパン株式会社TREK BICYCLE カラフルタウン岐阜スタッフ
- 大橋 由佳さん (21歳)
「いらっしゃいませ」と、元気な声が店内に響く。大橋さんが勤めるのは、アメリカでシェアナンバーワンを誇りるスポーツバイクバランド「トレック」。昨年オープンした、岐阜の新店舗でスタッフとして活躍している。TCDに入学したのも「自転車ショップで働きたい」という明確な目標があったからで、まさに夢を実現させた卒業生の一人だ。
「高校生の頃から自転車に乗るのが大好きで、将来は絶対自転車ショップで働きたいと思っていました。岡山から上京しTCD に入学しましたが、自転車のこともほぼ何も分からない状態だったので、毎日が一生懸命でしたね」
放課後は自転車ショップでアルバイトする、自転車漬けの日々。トレックは2年生の春からアルバイトをは始め、インターンシップを経て正社員に採用された。
「トレックは私自身大好きなブランドで、レディースやキッズモデルの展開が多いのも魅力です。男性はもちろん、女性や子供たちにももっともっと乗ってほしいと心から思えるので、積極的にその魅力を伝えていきたいですね」
大橋さんは入社してまだ間もないが、スタッフとして接客やメンテナンス、組み立てなど幅広い業務をこなしている。広い店内を笑顔で動き回り、テキパキと働く姿が印象的だった。
企業DATA

- トレック・ジャパン カラフルタウン岐阜店
- 世界中で愛されるスポーツバイクブランド、トレックの直営店として2019年にオープン。トレックが誇る最新のロードバイクやクロスバイクほか、マウンテンバイクやe-bikeまで多彩にラインナップ。
多くのお客様に、自転車の楽しさを伝えたい

- サイクルベースあさひ仙台松森店 副店長
- 山本 拓磨さん (26歳)
「明確な目標がなく大学に進学するより、自分が本当に好きなことを仕事にしたいと思ったんです」と、TCD入学を決めた理由を話してくれた山本さん。1期生として入学し、みっちりと自転車の基礎を学んだ。学生生活を送った3年間、無遅刻無欠席の皆勤賞で通したことからも、山本さんの真面目で誠実な人柄が伺える。
「同級生たちも、自分と同じ自転車好きばかりなので話も合うし、学校に行くのが楽しかったんです。何より自分がやりたいことをやっているという実感があったので、あっという間の学生生活でした」
卒業後は、学生時代からアルバイトをしていたサイクルベースあさひへ就職を決めた。
「進路はすごく悩みましたが、自転車に興味がある方にとって一番身近に感じられるあさひで働きたいと考えました。現在は副店長として、接客からメンテナンス、組み立てや発注など、さまざまな業務を任されていますが、お店作りに密接に関われるので、とてもやりがいがあります。お客様に満足して帰ってもらえると、本当に嬉しいです」
今の目標は、店長としてひとつの店舗を任せてもらえるようになること。入社以来、持ち前の真面目さと誠実な仕事ぶりで、着実にキャリアアップを果たしている山本さん。その目標を達成する日も、そう遠くはなさそうだ。
企業DATA

- サイクルベースあさひ 仙台松森店
- 全国に470店舗以上を展開する大型自転車専門店。PB(プライベートブランド)商品をはじめとした豊富な車種をズラリと取り揃える。仙台松森店は、多彩なジャンルのスポーツサイクルを常時180台以上取り扱う、スポーツサイクルに特化した店舗。
職人の世界に身を置き
黙々と作業に向き合う日々

- マツダ自転車工場製造担当
- 川村 翔太さん (26歳)
競輪を統括しているJKAの登録フレームメーカーとして競輪選手の競技用フレームを手掛けていることでも知られるLEVEL。川村さんは、そんなLEVELのフレーに魅せられた一人だった。どうしてもLEVELで働きたいと思った川村さんは、在学中にTCDの進路相談室に相談しインターンとして働くチャンスを掴み、遂に入社の夢を果たした。「現在入社して4年目ですが、まだまだ覚えることが沢山あり、毎日夢中で作業に向き合っているので1日があっと言う間。職人の世界は厳しい部分もありますが、とても奥が深く、毎日が楽しいです」と話してくれた。
企業DATA

- 株式会社マツダ自転車工場 LEVEL
- 設計から製造までハンドメイドで行う、LEVELブランドを擁するマツダ自転車工場。競輪の世界で培ったフレーム制作の技術を一般用から高齢者向けの自転車作りにも応用し、幅広くモノ作りを行なっている。
「好きなことを仕事にする」夢を実現し、さらなるステップアップを目指す日々

- ビアンキバイクストア 町田チーフ
- 石川 竜也さん (26歳)
自転車好きで知らない人はいない、世界最古のイタリアン自転車ブランド、ビアンキ。石川さんは、そんな老舗ブランドの直営店でチーフとして活躍している。
高校生の時から自転車に乗るのもいじるのも好きで、当時からサイクルショップでアルバイトをしていたという。TCDに入学したのは、好きなことをもっと究めたいという、ごくシンプルな理由からだ。
「TCDにはある程度の知識がある状態で入学したのですが、やはりその道のプロフェッショナルからしっかりとノウハウを学べたのは大きかったですね。3年間という短い期間のなかで、とにかく自転車に関する全てのことを吸収してやろうという気持ちで毎日過ごしていました」
そんな石川さんは卒業後、同じTCDの卒業生で、先にビアンキで活躍していた先輩の勧めもあり就職を決めた。現在は働きだしてまだ3年目だが、チーフという重要なポジションを任されるまでになっている。
「最初は完成車の組み立てから始まり、徐々にお客さんの自転車のメンテナンスなども任せてもらえるようになりました。好きなことを仕事にするのは難しいという人もいますが、僕の場合はそれを実現できているのではと思います。本当にやりがいがありますね」
そんな言葉からも毎日の充実ぶりがうかがえた。
企業DATA

- ビアンキバイクストア 町田
- イタリアの名門ブランド、ビアンキの国内9店舗めの直営店として2016年にオープン。ハイエンドのロードバイクを中心に、MTBやクロスバイク、小径車までフルラインナップで展開。80坪の広い店内には認定整備モデルスペースも併設する。
好きなことだからこそ、極めたいと思える

- カミハギサイクルショップスタッフ
- 工藤 千尋さん (21歳)
好きなことを仕事にしたいという人は沢山いるが、工藤さんはそんな夢を叶えたTCD卒業生の一人。現在は地元の埼玉を離れ、名古屋のカミハギサイクルで沢山の自転車に囲まれながら、充実した日々を過ごしているという。
「高校生の時に初めてスポーツバイクに乗った時から自転車の魅力に引き込まれ、自然と将来は自転車ショップで働きたいと思うようになりました。毎日自転車に囲まれ、触れていられるなんて、これ以上幸せなことはないなと」
そんな工藤さんだが、入学当初はほとんど知識がなく、ゼロからのスタートだったという。「乗ることが好きだったのでメンテナンスなどの知識も全くなく、ネジの締め方も分からない状態でした。でも、基礎を学んでいくうちに整備の面白さも知ることができました。ホイール組みが苦手で全然できなくて、先生につきっきりで教えてもらったのはいい思い出です」
カミハギサイクルに入社したのは、在学中のインターンシップがきっかけ。「オシャレな店内を見て、初めて来た時からここで働きたい! と思いました。今はTCDで身につけた基礎を応用している段階。女性のお客さんも多いので、同じ目線で接客することを心がけています。ここでキャリアを積んで、もっともっと自転車を究めていきたいと思います」
企業DATA

- カミハギサイクル 小牧本店
- 創業40年を越える、名古屋随一のスポーツバイク専門店。店内には200台以上の厳選されたスポーツ車がズラリ並ぶ。イベント開催にも積極的で、ロードやMTBのツーリングイベントはほぼ毎週開催。
好奇心と行動力があれば道は開ける

- Y’s Road Kagurazaka urban e-commuterショップスタッフ
- 鶴田 紘平さん (33歳)
TCDには、一度社会人を経験してから転職を目指して入学する人も多くいる。鶴田さんもまさにそんな一人で、TCDに入学したのは28歳の頃。モーターサイクルのほうのバイクショップで、メカニックとして働いていたそうだ。
「業務内容自体は面白かったのですが、若い人があまりオートバイに乗らなくなってきたこともあり、業界の将来に不安を感じていました。その点自転車なら、子供から大人まで皆が乗れるものだし、なくなることもない。先行き明るいかなと思い、退職してTCDに入学することを決めたんです」
28歳から、全く新しい業界への挑戦。オートバイと自転車は同じ2輪ではあるが、似て非なるもの。それでも、その選択に対して全く不安はなかったと鶴田さんは言う。
「好奇心と行動力があれば道は開ける、というのが僕のモットーなんです。同級生たちも年下が多かったですが、みんなスタートラインは一緒。年齢関係なく、それぞれが違うバックボーンをもっているのは当然のことなので、在学中に年齢を気にしたことは全くなかったですね」
現在、鶴田さんはこれまでの経験を活かし、Y’s roadの都市型バイクに特化したコンセプトショップの立ち上げから関わり、忙しい日々を送っている。笑顔を絶やさず、生き生きと店内を走り回る姿が印象的だった。
企業DATA

- Y’s Road Kagurazaka urban e-commuter
- 日本最大級の規模を誇るスポーツサイクル専門店。2018年にオープンしたばかりの神楽坂店は特に電動アシスト自転車に力を入れたコンセプトショップで、都市における快適な移動を提案している。
着実にステップアップを果たし
念願だった一国一城の主に

- バイチャリ 川越店オーナー
- 後藤 秀介さん (31歳)
元々大手自転車ショップで働いていた後藤さんは、一国一城の主になるという目標を実現するための第一歩としてTCDに入学。第1期生として3年間基礎を学び直し、卒業後はバイチャリに就職。そしてついに昨年、自身のお店として、地元の川越にバイチャリ川越店をオープンさせた。まだオープンして間もないが、早くも地域に溶け込み買取依頼なども多くもらっているという。
「今は全てを一人でこなしているので大変ですが、自分で選んだ道なので充実しています。今後はお店を軌道に乗せ、安心してお客さんに乗って頂けるサービスを増やしていきたいです」と語ってくれた。
企業DATA

- バイチャリ川越店
- スポーツ自転車やロードバイクを主に扱う自転車買取専門店。店内には整備済みからジャンク状態で販売しているものまで揃う。買取はもちろん、メンテナンスやカスタムの相談も受け付けている。
デザインを通じて、より深く自転車と関わりたい

- 株式会社スギノエンジニアリング 技術開発部 デザイン課
- 西薗 喬大さん (29歳)
「僕が作ったんです」と商品カタログを見せてくれたのは、自転車パーツメーカー・スギノで働く西薗さん。カタログは消費者、販売店、問屋など、多くの人の手に渡る会社の大切な“看板”だ。そのデザインをひとりで手がけただけでなく、掲載されている商品画像の撮影も担当したという。「使い慣れない機材やソフトで、最初は苦労しましたね」と笑う。他にもイベントブースのコーディネートや商品パッケージのデザインなど、業務内容は多岐に渡る。
西薗さんは、自転車に関わる仕事に就きたいとTCDに入学。メンテナンスやビルディングなどさまざまな切り口から自転車を学ぶなかで、自分はものを「作る」ことより「考える」過程が好きなことに気づいたという。
「仕事ではパソコンの前で考えたり悩んでいる時間が大半なんです。授業ではパーツのデザインやモックアップの制作などを経験しましたが、“考える”という基本の部分は同じですね。当時の学びが糧になっていると思います」
カタログ制作を経験したことで、編集や情報発信にも関心を持ったという西薗さん。「デザイン」を通じて、自転車とより深く、そして面白い関わり方を探求している。
企業DATA

- 株式会社スギノエンジニアリング
- 奈良県に拠点を置くサイクルパーツメーカー。チェーンリングやクランク類は競輪・トラック競技を中心に多くの選手に愛用され、その勝利に貢献している。写真はサイクルモード2016出展時のブースで、西薗さんがコーディネートを担当した。
知識ゼロのスタートから、プロメカニックの道へ

- 那須ブラーゼン メカニック
- 郡司 卓哉さん (22歳)
選手が乗るロードレーサーの清掃と整備。機材やパーツの在庫管理。レース中はメカトラブルに備えてサポートカーで追いかけ、レース後は選手の意見や感想を聞いてメーカーにフィードバック。「那須ブラーゼン」メカニックの郡司さんはそんな幾多の場面でチームの重責を担うが、意外なことにTCD入学時は、自転車の知識はほぼ皆無の、ごく普通の自転車好きだった。
「一番最初の授業でパンク修理をやったのが印象的でした。周りの人は当たり前にできることでも、僕にとっては初体験。ちゃんと基礎から教わることができてよかったです」
そのぶん授業には必死で食らいついた。2年間皆勤で学校に通い、わからない言葉は全てメモして調べ尽くした。彼自身がサッカーのプロ選手を目指していたこともあり、いつしか自転車でもプロの世界に関わりたいと思うように。「一度はショップに就職しましたが、今しかできないことに挑戦したくてメカニックの世界に飛び込みました。昔の僕がそうでしたが、自転車は好きだけどやりたい事がわからないという人も、どんどん未知の世界に飛び込んでみてほしいです」。“かつての自分”を思い出しながら、彼は後輩に熱いエールを送っている。
企業DATA

- プロサイクルロードレースチーム 那須ブラーゼン
- 地域密着型自転車ロードレースチームとして2012年に設立、Jプロツアーを中心にレースに参戦する。拠点となる那須ブラーゼンベースでは、レンタサイクルをはじめ那須エリアのサイクリングガイド事業も展開している。
一度きりの人生だから「好き」を仕事に

- トライスポーツ 総務
- 吉田 純さん (32歳)
TCDは高校を卒業したばかりの現役生はもちろんだが、一度社会人を経験してから入学する人も少なくない。吉田さんもまさにそんな一人で、前職はサラリーマンの営業として全国を駆け回る日々を送っていたそう。
「一度きりの人生、このままでいいのかなという思いがずっとありました。そんなときたまたまTCDの存在を知ったんです」
仕事を辞めTCDへの入学を決心した吉田さん。実家の群馬から2時間半かけて学校に通ったが「好きな自転車に携われるから長時間の移動も苦にならなかった」と話す。
「もともと自転車が好きでメンテナンスも自分で行なっていましたが、TCDに通ったことで趣味のレベルから、人に教えられるまでになりました。講師陣の豪華さも魅力でしたね。現役でお店を経営する方や最前線で活躍するフレームビルダーから、直接教えてもらうことなんてなかなかないと思いますよ」
現在、吉田さんは神戸にある「トライスポーツ」という自転車関連の輸入代理店で働いている。TCDで得た整備の技術や知識があったので、職場でもすぐにいろんな仕事を任せてもらえるようになったそう。「好きを仕事に」。そんな夢を実現させた吉田さん。彼のうれしそうな表情からは毎日の充実振りがうかがえた。
企業DATA

- トライスポーツ
- 兵庫県神戸市に本拠を構える自転車パーツの輸入代理店。現在、70以上ものブランドを取り扱っており、本社からすぐのところに自転車ショップ「プレミア神戸バイシクル&スポーツ」も展開している。
TCDが広げてくれた未来への可能性

- ビアンキ丸の内 ショップスタッフ
- 深澤 佳樹さん (22歳)
高校生の頃からイタリアンブランド、ビアンキの大ファンだったこともあり、将来を模索する中で「ビアンキで働きたい」と考えるようになったという深澤さん。TCD入学の決め手になったのは、そんな憧れの職場への就職実績があったことが大きかったそうだ。
「自転車のメンテナンスもそれまでは自己流だったので、プロからしっかりとノウハウを学べるというのも魅力でした。」
そんな深澤さんは、学校を卒業したあと晴れてビアンキの直営店に就職。しかも配属となったのは、日本を代表するフラッグシップショップだ。
「お店ではハイエンドのスポーツモデルからキッズバイクまで、ほぼ全てのジャンルを扱っているので、学校の授業で得た幅広い知識と技術が仕事をする上でとても役立っています。特にフレームやパーツの規格について深く知れたのは財産ですね。フレーム組みの提案が得意なのですが、規格の知識があるので、お客さまにより具体的なお話をすることができるんです」
働き始めてまだ一年。今はさらなる飛躍のために邁進する日々だ。
「フラッグシップショップで働いているというプライドもありますが、同時にプレッシャーも感じています。だからこそ自分の技術をもっと高めて、お客様に喜んでいただけるようになりたいです」
企業DATA

- ビアンキ丸の内
- 100年以上の歴史を有するイタリアンブランド、ビアンキの直営店。店内にはハイエンドロードバイクから街乗りに最適な小径車まで、ビアンキの各車がずらりと並ぶ。ビアンキオリジナルウェアや直営店限定商品など、ファン必見のパーツも数多く取り揃える。
「新しいものを考えて作る」そのよろこびが原動力

- 株式会社オーエックスエンジニアリング
製造担当 - 津島 智泰さん (31歳)
趣味として自転車を楽しんでいた津島さんが「本格的に自転車を学びたい」という思いを強くし、塾講師の職を辞してTCDに入学したのは27歳のとき。印象に残っているのはワーキングバイクの製作だという。
「新しい構造を考えて形にする。それが楽しかった」
そんな折、学校の講義でオーエックスエンジニアリングの存在を知り、卒業後に入社。現在は学んだことをフルに活かして競技用車いすの製作を行っている。
「まだまだ修行中の身ですが、新型車両の開発をするのが夢」と語る津島さん。TCDで養われたモノづくり精神は、今日もこの工房で輝いている。
企業DATA

- 株式会社オーエックスエンジニアリング
- 国内外のパラリンピック選手が全幅の信頼を寄せる日本の車いすメーカー。国内アスリートのシェアは70%近くにもなる。“車いす界のポルシェ”と称されるレース用車いすのほか、日常用車いすやユニークな小径自転車も製造する。
お客さまを満足させる世界でひとつだけの自転車を

- マッキ サイクルズ フレームビルダー
- 植田 真貴さん (39歳)
「自転車の楽しさを広めたくて、最初はお店をやるために入学したんです」。しかし植田さんは、ビルディング授業で自転車づくりに開眼。ビルダーを志した。
「溶接やザグリなど、基礎の技術がしっかり学べる授業でしたから。それまで自分で自転車を作れるなんて考えもしなかった」
限られた時間の中で少しでも経験を積もうと、在学中から工房を立ち上げ、フレーム製作に打ち込んだ。プロになっても努力の日々は続いている。
「卒業してすぐに通用するほど、この世界は甘くない。だけどお客さまと向き合い、世界で一台の自転車を作るやりがいは凄く大きいですよ」
企業DATA

- マッキ サイクルズ
- TCD第一期卒業生である植田真貴さんが、地元の滋賀県で2015年4月に設立。ハンドメイド自転車製作メーカーとして、ロードバイクからシティサイクルまで、一人ひとりの個性に合わせたオーダーバイクを幅広く製作している。
自転車の可能性は無限大。勉強と挑戦の毎日

- 東洋フレーム 製造スタッフ
- 塙 拓人さん (24歳)
「小さいころから機械いじりが好きでした。父が修理業を営んでいたので、その影響が大きいのかもしれません」
そう話すのは、大阪の「東洋フレーム」で働く塙さん。入社したきっかけは在学中に同社でインターンシップを体験したこと。
「この会社に入りたい!と思いました。自転車への考え方、ものづくりへの姿勢。僕の中で突き動かされるものがあったんです」
入社して二年目だが、「やらなければ身につかない」という方針から、とにかくいろんなことにチャレンジさせてもらえる毎日。
「TCDで基本的なことを覚えられたのは僕の強み。でも、1人前になれる日はまだまだ先ですけどね(笑)」
企業DATA

- 東洋フレーム株式会社
- 1973年に創業した大阪の自転車フレームならびにパーツメーカー。オールクロモリのフレームはもちろん、カーボンとのハイブリッドフレームを製作するなど既成概念に捉われない新しい製品を世に生み出している。
1台のクロスバイク購入で自転車の世界に

- セオサイクル 販売、修理
- 新倉 那弥さん (25歳)
「駅までのバス代を浮かせたい」
新倉さんが自転車に興味をもったきっかけは至ってシンプル。大学生のときに買ったそのクロスバイクが新倉さんを少しずつ自転車の世界へと導いていったのだ。
「気が付けば、学生時代に自転車好きの仲間が増え、いつしか仕事にしたいとまで思うようになったんです」
いまは関東を中心に事業を展開するセオサイクルに勤務しているが、学生時代を振り返ると「学んだことすべてがいきていますね」という。
販売接客時の知識、組み立て、修理。すべての授業がリアルな現場で働く今の自分の力になっているのだ。そして、「人とのつながり」もまた学校生活で得たものと新倉さんは話してくれた。
「フレームビルダーやショップオーナーとして第一線で活躍している先生や、同じ目的意識を持った同期生たち。人と人とのつながりは決してお金では買えないものだと思うんです」
企業DATA

- セオサイクル
- 1956年に店舗第一号となる船橋店を開店。現在は関東一都六県において120以上もの店舗を構える。毎年開催している「セオサイクル・サイクルフェスティバル」は、人気のサイクルイベント。
雑誌というメディアと通して、自転車の魅力を発信したい

- サイクルスポーツ 編集者
- 松下 功樹さん (23歳)
「なんとなく大学に進学するより、自分の人生を自転車に捧げたかったんです」と、松下さんは入学を決めた理由を振り返る。
現在の仕事は自転車雑誌『サイクルスポーツ』の編集者だ。
「就職で悩んでいたとき、学校の先生に向いているのではとアドバイスされたことがきっかけです。予想外の進路でしたが、紙面で紹介する自転車を組み立てるときなど、学校で身につけた技術が活きる場面はとても多いです。同級生が同じ業界にいるのも心強いですね」と話してくれた。
今の目標は1日でも早く先輩編集者たちに追いつき、紙面をもっと面白くすること。松下さんの今後が楽しみだ。
企業DATA

- サイクルスポーツ
- 八重洲出版が発行する自転車専門雑誌。1970年4月創刊という長い歴史を持ち、日本の自転車シーンを牽引してきた。新製品の紹介からマニアックな実験ものまで、読者のニーズに寄り添った企画が人気を集める。